こんにちは。厳しい暑さが続く夏、熱中症対策とともに、お口の健康にも注意が必要です。夏特有の環境や生活習慣が、「むし歯」や「歯周病」、さらには「口臭」のリスクを高めることがあるのです。今回は、その原因と具体的な予防策を解説します。
夏にお口のトラブルが増える3大要因
1.唾液量の低下:お口のバリア機能が弱まる
夏は大量の汗や冷房による乾燥で、お口の中が乾きやすく、唾液の分泌量が減少しがちです。唾液は「天然のデンタルリンス」とも呼ばれ、お口の健康を守る重要な役割があります。
・自浄作用: 食べかすや細菌を洗い流す。
・抗菌作用: 細菌の増殖を抑える。
・緩衝作用: 食事による酸性の状態を中和する。
・再石灰化作用: 初期むし歯を修復する。
唾液が減るとこれらの機能が低下し、細菌が繁殖しやすくなります。結果、むし歯や歯周病のリスクが高まり、口臭も強まることがあります。
2.夏バテによる免疫力の低下:細菌への抵抗力がダウン
夏の暑さによる夏バテは、体力を消耗させ免疫力を低下させます。免疫力が弱まると、お口の中の常在菌(特に歯周病の原因菌)が活発化しやすくなります。
これにより、歯ぐきの炎症が進み、腫れや出血、痛みといった歯周病の症状が悪化したり、新たに発症したりすることがあります。また、疲労やストレスは、無意識の歯ぎしりや食いしばりを誘発し、歯や歯周組織にさらなる負担をかけることもあります。
3.夏の飲食物に潜む罠:むし歯と「酸蝕歯」のリスク
暑い夏には、冷たくて甘い飲み物や食べ物が魅力的です。しかし、これらがむし歯や「酸蝕歯(さんしょくし)」の大きな原因となることがあります。
・「ダラダラ飲み・食い」でむし歯リスク増大
スポーツドリンク、炭酸飲料、ジュース、アイスクリームなどは糖分を多く含みます。むし歯菌は糖を分解して酸を作り、歯を溶かします。これらの飲食物を少量ずつ長時間かけて摂取する「ダラダラ飲み・ダラダラ食い」は、お口の中が常に酸性の状態にさらされ、むし歯のリスクを著しく高めます。
・もう一つの脅威「酸蝕歯」
酸蝕歯とは、飲食物に含まれる「酸」そのものによって歯のエナメル質が溶けてしまう状態です。炭酸飲料、スポーツドリンク、柑橘系の果物、お酢ドリンクなどが原因となりやすく、歯が広範囲に薄くなり、知覚過敏(冷たいものがしみる)などを引き起こします。むし歯が細菌による局所的なものに対し、酸蝕歯は歯の表面全体が溶けるのが特徴です。
夏のお口を守る!今日からできる徹底予防策
夏の過酷な環境からお口の健康を守るためには、以下の対策を実践しましょう。
・賢い水分補給を心がける
日常的な水分補給は、糖分を含まない「水」や「麦茶」などを中心に。スポーツドリンクは大量の汗をかいた時などに限定し、飲んだ後は水でお口をゆすぎましょう。こまめに少量ずつ摂取するのが効果的です。
・唾液力を高める工夫をする
食事はよく噛んで食べ、唾液の分泌を促しましょう。唾液腺(耳の下、顎の内側、顎の先端の下)を優しくマッサージするのも効果的です。
・免疫力を維持する生活習慣を
バランスの取れた食事、質の高い睡眠を心がけ、夏バテを防ぎましょう。適度な運動と十分な休息で、疲労を溜め込まないようにしましょう。
・丁寧なセルフケアで細菌をコントロール
毎食後、特に就寝前は丁寧に歯を磨き、プラーク(細菌の塊)を除去しましょう。歯ブラシだけでは届きにくい歯間には、デンタルフロスや歯間ブラシを必ず使用しましょう。フッ素入り歯磨き剤は、歯の再石灰化を促し歯質を強化します。酸性の飲食物を摂った直後は、30分ほど時間を置くか、水で軽くお口をゆすいでから優しく磨きましょう。
・歯科医院でのプロフェッショナルケアを活用
定期的な歯科検診で、自覚症状のないトラブルも早期発見・早期治療へ繋げましょう。歯科衛生士による専門的なクリーニング(PMTC)で、セルフケアでは落としきれないプラークや歯石を除去し、むし歯や歯周病になりにくい環境を作りましょう。
最後に:夏こそお口の健康を見直すチャンス
夏は楽しい季節ですが、同時にお口の健康にとっては注意が必要な時期です。正しい知識と適切なケアで、これらのリスクは大幅に軽減できます。
「歯がしみる」「口の中がネバネバする」「歯ぐきから出血がある」など、少しでも気になる症状があれば、早めに歯科医院にご相談ください。特に症状がなくても、定期的なチェックを受けることが大切です。
当院では、患者様一人ひとりに合わせた予防プログラムのご提案や、専門的なケアを行っております。お口に関するお悩みやご質問がございましたら、お気軽にお声がけください。健康なお口で、今年の夏も笑顔で過ごせるようサポートいたします。
にしあかし歯科
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2025年7月18日 カテゴリ:ブログ